〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

「確かに私は寂しさに負けたと思う。…誰でも良かった訳じゃない。
誰からも声、掛けてもらえなかった。
だけど、自分から声を掛ければ、なんとか誰かと付き合えていたかも知れない。
でも、なんだかそんな気持ちにはなれなかった。…矛盾してるね」

…。

「結果、馬鹿みたいに…後生大事に守り続けたみたいになった。
無理してまで付き合って、したくなかった。
だから、声を掛けてくれないって理由をつけて、恋愛しなかったんだと思う。
寂しさとは別…要らなかったから。
…陽人、好きよ。今現在、私は陽人が好き。…話はそれだけ」

ふぅ。なんとか伝わったかしら。
なんだかもう、駄目かも知れない。
陽人、きっと、馬鹿にするなって思ってるだろうから。

帰るしかない。
立ち上がろうとした。
回している両腕をそのまま掴まれた。

「…諦めるのか?
自分の気持ちだけ滔々と語って…自分の気持ちだけで、また終わらせるつもりか?」

だって…。

「全ては、何もかも今更…だろ?
もう…あの時はこうだったとかなんて、言わなかった後悔を語り合っても、何も変えられない。
全部過去の事だ」

…。

手を引っ張られ、ソファーを回り込むように隣に座らされた。
< 55 / 175 >

この作品をシェア

pagetop