〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

「ベッドは凄く優しい香りがして、すぐ眠ってしまって…康介さんが戻ったの知らなかったの」

「で?」

「で?…なんだか目が覚めて…、見たら目の前に男の人が居て、そしたら康介さんで」

「アイツはパンツ一枚で寝てたと」

「…うん」

なんだ?その溜めは。

「京?」

「なんでもないんだけど、抱き枕にされてた。
よく眠れたって…」

…アイツー!…。

「京!ベタベタ触られたとか、何もされなかったか?」

「多分」

「多分?」

「だって…、寝てる間の事は解らないもの…。何もされてない。ただ抱きしめられて寝てただけ」

ただ、だとー?
抱きしめられて寝た事が、ただだとー!

「京、康介のところに行って来る。確かめて来る」

「待って、待って、陽人。大丈夫。何もされてないから。
陽人の友人でしょ?
そんなのしちゃダメだよ。長い友人でしょ?
私が何も無いって言ってるんだから大丈夫でしょ?…落ち着いて」

取り敢えず陽人を抱きしめた。

「本当か?庇うなよ?俺の連れだからって遠慮じゃないだろうな?」

「大丈夫。大袈裟に思う事じゃないから、大丈夫。だからって…平気とは違うからね?でも大丈夫」

「京…」

「陽人がこうして、抱きしめてくれたら、消えちゃうから、ね?
だからここに居て。もっと抱きしめて?」
< 59 / 175 >

この作品をシェア

pagetop