〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
・心の所在はハッキリと
「おはようございます」
「おはよう、早いな」
良かった。今日もいつもと変わらない。
「碧井…」
うわ。ドキッとした。
「はい」
「悪いんだけどこれ急ぎで出来るか?他に急ぎの物は無いか?」
「はい、大丈夫です。まだ始業前ですし」
「うん。パソコン立ち上げたら声掛けてくれ」
「はい、解りました」
「課長。大丈夫です」
課長がやって来る。
「この書類なんだが。
後輩君が作成したもんだが、こことここ。それから、ここ、違っているんだ。
正しく打ち直して、取り敢えず、10部だけコピーしておいてくれないか。
入ってるファイルは…ああ、これだ。
頼む。すまんな。当の本人は得意先寄ってから出社なんだ。だから、昼前まで居ない。悪いけど頼む」
ボードを見てみた。
本当だ。田口君、〇〇社に寄る事になってる。
「はい。すぐやります」
「助かったよ。俺の方もこんな時に限って手の掛かる処理があるんだ。ほら、サービス」
コーヒーを入れて渡してくれた。
「あ、ありがとうございます。
課長に入れてもらうなんて、…なんだかすみません」
「いや、コーヒーはコーヒーメーカーが作ってる。俺は入れただけだ」
そうだけど。
「あ、零すなよ?デスクから離して置くように。
もしくは飲んでしまってから始めろ。いいな?」
そそっかしい事、よくご存知で。
「はい。気をつけます」
「うん」
澤村さんは、ずっと変わらない人だな。