〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

あぁ、顔知らないんだった。
今夜にでも京に聞いとくか。
写真とかあるかな。


ブーブー…。陽人…。

【今夜来てくれ】

【解った。きっと私の方が早く終わるから、先に部屋に入ってるけど、いい?】

【ああ。鍵持ってるのか?】

あっ、今日は持ってなかった。…忘れてた。
必要無い時は、無くすと迷惑かけるから、自分から行くって決めて無い日は持ち歩かない事にしている。

【ごめん】

【だと思った。何時に終わる?】

【7時。もう終われる】

【早いな。なんとかする。終わったら会社に来れるか?
着いたら携帯鳴らしてくれ】

【解った。ごめんね】

【おう。待ってるぞ。気をつけろよ】

【うん】

陽人ぉぉ。最近、優しいんじゃない?こんなにやり取りしてくれて。
行くよ会社くらい。行く行く。
近くのどこかのお店で待ってるから、陽人。


【陽人、着いた】

あ、鳴らせって言ってたんだ。コールの方がいいのか。
RRRRR…。

「はい。京、着いたか?」

「うん。あ、陽人」

中を覗けば、もう下りて来ていた。


「来い」

手を引かれた。

「えっ?ちょっと、陽人」

「上に上がる。内緒だ。もうみんな帰った。
後少しで終わるから、俺の隣に座って待ってろ」

「で、でも、他所の会社のフロアには…駄目よ…」

「商談だと思え。『来客扱い』だ。それなら問題無い。エレベーター乗るぞ」

「う、うん」

なんだかいいのかな…。
こんなのって、ちょっとドキドキするんですけど。
< 69 / 175 >

この作品をシェア

pagetop