〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
「ここ、座れ。もう少しだから。
終わったらご飯食べて帰るか?
京いつも作ってくれてるから、たまには外食して帰ろう。
近くにランチが上手くて、夜もお得なディナーメニューがある店があるんだ。食って帰ろう。
ま、俺的には京が作ってくれるのが一番旨いけどな」
「陽人…」
なんて日だ。陽人にとって、今日は優しくするデーなのかしら?
…なんだか嬉しい。嬉し過ぎる。
「…陽人」
「大胆ですね…お客様。オフィスで誘惑ですか?」
「うん、誘惑。だって嬉しいから」
陽人に抱き着いていた。
嬉しくて、フワフワして落ち着かなくて、座ってなんかいられなかった。
陽人のせいだからね。
「参った…早く帰りたい。ディナーもすっ飛ばしたくなった。
京、もう少しいい子で待ってろ。
あと5分で片付けるから」
「…うん」
おでこに唇が触れた。
「美味しかったぁ。ご馳走様」
「だろ?また来るか?」
「そうね〜。どっちでもいい」
だって、美味しかったけどお店はやっぱり落ち着かない。
陽人を見る視線を感じるから。
「どっちでもいいってなんだ?
でも、俺もどっちでもいいかな~。京のご飯の方がいいから。
しんどい時とか、また来れる時に来よう。京の気晴らしにもなるだろ」
甘いし、気配りもある。やっぱり陽人、今日は変だよ。
それとも、これが普通なのかな。
何もかも…どんなに月日が経っても、陽人との付き合い方に免疫の無い私には、起きる事全てが初めてて、解らない事だらけだ。
でも、私が嬉しいんだからそれでいいんだ。
「陽人…」
腕に絡み付いた。
「なんだ…今日はいやに懐くなぁ」
京?今日?どっちでもいい。
素直にそうしたくなっただけだから。