〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
「お風呂、有難うございました」
出たか…。お。結局、俺のデニムを穿いたか…。
不謹慎だがダボダボした姿が妙に可愛らしかった。
しかし、こんなにデカイものなのか、いや、逆か…女性というのはこんなに華奢なんだな。
いや、違う、京が、だ。
…一緒に暮らしたらこんな姿も見えるのか…。
「流石にデカイな」
中のシャツの袖と、セーターの袖をたくしあげている。
「はい。課長は身長が高いですから。…こんなに捲りました」
足をちょこっと上げて見せる。
…。
これは。裸にエプロンという、世の男どもの喜ぶエロい姿よりも、俺にはグッとくる格好だ。
…あれはエロ過ぎる。テンションが合わなければ引くだけのモノだろ…。
寝てる時の大きなトレーナー姿もだが。…いいな。
俺は何を…考えてる。
急に京が近くなった気がして…、今の俺が冷静じゃなくなってどうするんだ。
「悪い。俺もシャワーしてくるから、アイス食べてていいぞ?
風呂上がりのアイスは美味いもんな。飲み物も適当にな?」
冷蔵庫を指す。
「はい。ちょっと食べてます」
「はぁ?好きなんだろ?
ちょっとと言わずがっつり食べろ」
「…待ってますから。出たら一緒に食べましょ?」
…な、なんだと言うんだ。普通の言葉が普通に聞こえない。
待ってて一緒に食べるだと?…。
気を付けなければ、撃沈されるかも知れない。
…それどころじゃないのに。
ふぅ。俺は課長だ。…課長。今日の京の言葉に反応してはいけない。
しかし、…あんな可愛らしい事、言うんだな。同級生の彼の前でも言っていたんだろうか。
男が理性を保ち続けるというのは大変な事だ…。