〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。


「無理難題行ってるかなぁ。大丈夫だよね?
カレカノだからって、依存し合うのって違うと思うんだ。
高校生の時に経験出来る事は今だけだろ?
付き合うって事だけになってしまったら、他のモノが経験出来なくなってしまうからね」

おっしゃる通りです。
友達とのお喋りも楽しい。部活も意義のあるものだと思う。
そして人を好きになる事も。今しかない好きがあると思う。

「休み時間に覗きに来たりしても嫌じゃない?話せる?」

「いいよ」

ほお。良かった。その時に会えるし話せる。

「じゃあ、来る」

「うん」

「雨の日は一緒に帰れる?...途中まで一緒に。
家、反対方向なの。
私、行って帰って来るみたいにするから」

「それは俺がするよ。
俺が送ってから帰るようにする」

「いいの?」

なんだか嬉しい。嬉しくなってきた。

「いいよ」

嬉しい。もうデートの約束をしているみたいな気持ちになる。
よし、雨の日は絶対一緒に帰る。

降らなければ当然一緒に帰れない。
あ、でも、部活の無い日もあるか。
その日の事も言っておいた方がいいのかな。

「あの、雨に関係なく、部活が無い日もいい?」

「いいよ。当然」

良かった。

そのうち状況も変わるかも知れないし。
取り敢えず、休み時間には遠慮無く会えるから。

「じゃあ、最長、卒業までよろしくって事で。
えっと...」

「あ、きょう。京都の京って字で、きょう」

「京。よろしくな」

「うん、陽人君」

「陽人でいいよ。俺も、もう京って言ったし」

「じゃあ、陽人。よろしくお願いします」

ん?手を取られて握手された。
そのまま引っ張られた。
つんのめって胸の中に飛び込んでいた。
ん?顔、上げられた。
唇が...触れてる。
束の間のキス。
...え?

「じゃあな。部活行くし。...京も頑張れよ」

あ、...。

「う、うん」

フッて笑って行ってしまった。

唇に触れてみる。

内面は意志のある強い男子なのかも。...強引だなぁ。

て、!?...ファーストキス...私の。
今のがファーストキスになっちゃった。

陽人に...いきなり。...されちゃった。

今、付き合うって、決めたばっかりなのに。

...何か、淡々としてたな。慣れてるのかな。

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