〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
それ用の小さな箱に鍵を入れ、宛先を記入した。
「お願いします」
料金を払い、宅配便の営業所を後にした。
これでいい。
これが陽人の望む返し方だもの。
これがいい。
会ってはいけない。
陽人の中で突然何かあったという事。…それが何なのか。…陽人は優しかった。あれが意味したモノは、終わり、だった。
理由が何かは解らなくても、そういう事だ。
陽人はあの優しさで終わりにした。だから、終わりにしようと言ったんだ。
課長は話をした方がいいと言った。
だけど、何故?と聞ける権利というか、資格というか、それが私には無いような気がした。
言われて当たり前のところがある。
それは私の始め方にあるからよね。
あんな気持ちで陽人に付き合ってと言った私。それを受け入れてくれた陽人…。
だから、陽人に終わりにしようと言われても仕方ないんだ。
終わりにしようと言われて、私が傷付いたんじゃない。
傷付いたのは陽人の方だ。
…終わりにしようと言わせてしまった。
自分を当てにして、付き合おうと会いに来た。そんな甘えた、ふざけた女…。
つまらない事をする女だ。
それを思い出して考えた時…。
別れられるのは最初から決まっていたようなものよね…。
陽人から私宛ての荷物が届いた。
小さい段ボール一つ。陽人の部屋にあった私のモノ。
これっぽっちのモノが私と陽人の過ごした時間の全て…。
…沢山の段ボールにはならない間に終わってしまった。
細かいモノまで全て入っていた。何一つ…棄てられなかった。
例えガラクタだとしても。勝手に処分なんてしない。
陽人はそういう人。
はぁ。…陽人。なんて短い付き合いなの…。
陽人…。
馬鹿だ、私は。もっと素直に、言いようがあっただろうに。