〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

ピンポン…。

「はい?」

京…。

「どうした…とにかく入れ」



昨日の今日じゃないか。
また、何かあったのか。…会ったのか…何か話したのか?…。

「…ごめんなさい。来ちゃいけないと解っているんですけど。
荷物が届いて、…こんなもんなんだと思って。私と陽人はたったこれだけだったんだって。
一人で泣けばいいのに。
…上手く泣く事も出来なくて。
自分の事なのに。
整理が出来ないんです。
こんな…、課長を利用するような事。しちゃいけないのに。
私を泣かせてください。
泣く場所を私にください。ごめんなさい、甘えた事を言って」

課長の気持ち…知っているのに。なんて事…。

「あ、…ごめんなさい。…やっぱり帰ります」

「利用したらいいさ。泣きたいんだろ?泣けないんだろ?
…甘えたらいいさ。入れ。…さあ」


「そこに座れ。…話したい事はあるか?」

首を振った。

「吐き出してしまいたい事は?」

首を振った。

「では、俺はどうしたらいい…。ここにこうして、傍に居たらいいのか?」
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