〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

衝動の前の最後の冷静だ。
拒否されたら止める。
…止められるか?

「…抱いてもいいか…京…」

京は何も言わない。
俺に委ねられたのか。
嫌と言葉にしないだけで 、拒否しているかも知れない。
聞くんじゃ無かった。

ベッドに下ろした。
一緒に横になり、抱きしめた。

このままで居よう。
そう思った。

中途半端な大人だな。なんなんだ俺は。

いつからこんな臆病になった。
怖いのは本気だからだ。
今無茶をして、始まってもいないモノを失ってしまうかも知れないと思うからだ。

俺の臆病さが本気の気持ちの強さの確認になるなんて。

京が腕の中に居る。それだけでいいじゃないか。

今はこのままで居よう。

慌てない、焦らないって決めてただろ?
自問自答を繰り返していたら、そのうち冷静を取り戻すだろう。
きっと早まらなくて良かったと思うだろう。

京、さっきの言葉は忘れてくれ。
京は泣きに来たんだ。
それだけだ。

それ以上は始めから無い。
何かしてしまっては本末転倒だ。

誰かに話したらお前は馬鹿だって言われるかもな。
わざわざ抱いてもいいかって聞いておきながら、それでもしないなんて、アホかってね。
…男のくせにって。

情けなくても今日はこれでいい。
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