ヒモ系男子にご注意!!





「俺もそのラーメン好きなんだー。おばちゃんの愛がこもってる」


「はぁ。まぁ確かに」


言われてみればそんな気が。


「日替わり定食Aも好きなんだよ。ABCとあるけど、Bは麺ばっかりだしCは女子向けで物足りなくて。その点Aは男心を理解したメニューが多いから気に入ってる」


「そうなんですか」


この人よくしゃべるなぁ。


「………美味しそうだね」


「………買ってきたらどうですか?」


「………財布落としちゃったんだよ」


「へっ?!」


「さっき食券買おうとしたら財布が無いことに気がついて。で、どうしようか悩んでたとこ」


「そ、それはお気の毒に」


表情を見ているとだんだんいたたまれない気持ちになる。


奢ってあげようかな──


と考えたとき。


ふと彼の着ているブレザーに目が行き、その気は失せた。


「騙すならもう少し上手く騙せよ」


「え?」


「あんたの制服の内ポケット。財布見えてるから」


黒色の革財布が彼の胸にちらりと顔を出していた。



「うわっ!!!しまった!!!もうマジ最悪だわ。うまいこと言いくるめられると思ったのにさぁ」


彼は頭をボリボリと掻く。


何なんだこの男。


私を騙そうなんて浅はか過ぎる。



「まぁいいや。要件は他にあるから」


彼の表情はさっきまでのニコニコとした笑顔からニヤニヤに変わる。

「元番長なんでしょ?あんた」




──え?














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