万華鏡
「杏珠、よからぬこと考えてんじゃないでしょうね」
作られてた喋り方から、一変感情のない声へと変わった京華の声。
「よからぬことつだてなぁにー?」
まぁ、あたしは替えないけどね。
「裏切る…、なんてことしたら」
「京ちゃん、うるさーい。あたしぃ、馬鹿じゃないんでぇ」
コテリと首を倒す。
京華が来たのはあたしの見張り役も兼ねてってことか。
あの人にあしは、信用されてないからね。
「ケーキ食べに行くぅ?」
「あんた、馬鹿じゃん。今から本家に行くんだよ」
あらー、お呼び出しかしら。
「そっか、そっかー」
「桜さんが待ってる」
あの人が待ってくれてる。
それだけで、あたしの心は満たされる。