万華鏡
「車、用意したから早く帰りよ~」
「すまねぇ」
和に後のことは任せて車へと向かう。
「真野、杏珠…」
異様なほどのオーラを醸し出すあいつ。
いつものような、ヘラヘラとしたものではなく…、
ただの女に戻っている。
それにしても、こんな時間に…。
「真野」
気づいたら声をかけていた。
俺に気づいたのか、へらりと笑い仮面をつけた。
「あれー?総長さんじゃーん」
のっぺりとした笑顔。
けど、何かが違う。
小さい頃から汚い世界を見てきた俺だからこそ気がつける些細な変化。