万華鏡
○side
目の前の男は余裕そうに口角を上げてあたしを見る。
なんか、負けた気分。
てか、あたしなんかを意識すんだね。
そーだ、
「颯?」
わざと上目遣いをし、ジッと見つめる。
「ドキドキ、する?」
顔をグッと近づける。
一瞬、視線がずれた。
あら?動揺してんのかな。
「颯?」
「杏珠が悪い」
あっという間に唇を奪われた。
「ん、ふっん…」
いやらしい音が響く。
巧すぎる。今までの男の中でも一番。
相当、遊んできたな。
そんなことを考えながら颯に合わせる。