あやめも知らず
2
バタン
一人部屋にしては少し広い部屋に連れてこられた。
いや、元の世界での私の部屋が狭すぎたのかもしれない。
この部屋に辿り着くまでに驚くべきことがあった。
ここは、王宮のような大きなお城の中。
私が彷徨った森も、この城の敷地内だった。
キョロキョロしているとこの部屋に一人だけ残った青年が、召使のような人から本を受けとった。
それを、私に渡そうとする。
本といっても絵本だった。