あやめも知らず





灰色の目をした少年は、私を見つめる。




「そろそろ戻らなければ、やることが山積みだな。」




少ししかいなかったのに?


ため息を零すと、部屋から出て行った。



あの人、一体何なのだろう。




それからも、たまに私の部屋に、短い時間ふらりと寄るようになった。
いつも私と会話を交わすというよりも独り言を呟いてただ聞いてほしい、というように。


こういうふうに飼っていた犬のコロにもよく話していたのかな。


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