あやめも知らず



「こっち?まずはこれから探そうかな、リングワゴン......何これ......。」



メモと、手書きの簡易的な地図、そしてお金を持たされて城下町を歩いている。


初めて城の外を出た。
久々にお爺さんと、王子と、シンさんと召使以外のたくさんの人を見て眩暈がした。


そもそも、あの部屋から出たのはこの世界に来て以来だ。




「まずさ、この部屋から出てみない?」

「え?いいんですか?」


私は城の中をうろついてはいけないのかと思っていた。
部屋には生活していく上で不便はないようになっているし、シンさんは私の部屋にいつも食事を持ってきてくれていたから。










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