あやめも知らず
3
「こっち?まずはこれから探そうかな、リングワゴン......何これ......。」
メモと、手書きの簡易的な地図、そしてお金を持たされて城下町を歩いている。
初めて城の外を出た。
久々にお爺さんと、王子と、シンさんと召使以外のたくさんの人を見て眩暈がした。
そもそも、あの部屋から出たのはこの世界に来て以来だ。
「まずさ、この部屋から出てみない?」
「え?いいんですか?」
私は城の中をうろついてはいけないのかと思っていた。
部屋には生活していく上で不便はないようになっているし、シンさんは私の部屋にいつも食事を持ってきてくれていたから。