あやめも知らず



「なんだ、コロか。入れ。お前たちは下がれ。」


いつもと変わらない様子だった。
侍従たちを下がらせると、部屋には私と王子だけになった。


「失礼します.......。」


「初めて喋ったな、コロ。」


それを聞いてギクッとした。
さっきのことがあって一瞬忘れていた。


「すみません、それから私はコロでは........。」

「コロ、俺は女が大嫌いだ。女のする、妙なマネをすればお前だろうが殺すことなど造作もない。心しておけよ。」


私はコロでいろってこと?
女のする、妙なマネ、とは?


「.......はい。」


でもここは、従うことが賢明だ。

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