あやめも知らず
「ここ、どこ......?お母さん、お母さん........。」
立てない。
美しさ故に醜くかった母が大嫌いだった。
あんなに嫌いだった母でさえ頼りにしている。
私にはすがるものなど、所詮あの人しかいなかった。
頭がぐるぐるする。
それに何だろうこの感じ。
力が抜けていく。
うまくは説明できないけれど、元の私の世界とは全く違うことは確か。
例えば、酸素が薄い、というような私という人間にとって普通に生活するために大切な何かが私には不足しているような。