あやめも知らず
「それから明日、父上に俺の直属の臣下であるとコロを紹介しようと思う。そのつもりでいろよ。」
王子はペロリとケーキを平らげて席を立ち、帰ってしまった。
「あんな感じだけどレイのこと、許してあげて。あそこまで話をするのはアヤメのこと気に入ってる証拠だから。」
底の見えたティーカップにシンさんが紅茶を注いでくれた。
「私、昨日街で王子の話を耳にしたんです。」
すると「ああ.....。」と言って少し悲しそうな顔をする。
「レイは、有能な者を採用して積極的に昇進させているんだ。それも身分も関係なくね。
明日会えば分かると思うけど、王はとてもお優しいお方だ。
レイはとても尊敬しているが、だからこそ自分が厳しくいなければと思っている。
なぜなら、王は過去に、臣下に謀反を企てられたことがある。
それに───。」