あやめも知らず



「ふふ、兄の顔ですね。」


照れたように見せたシンさんの顔が途端にぶれた。


「アヤメ!?大丈夫?」


「ちょっと一瞬、眩暈が......。」


まただ。
あの、エネルギーが足りなくなってきているように感じる。


突然くらっとくるのは、まるで貧血のよう。


ふっと横に倒れそうになったところをシンさんが支えてくれる。


「王宮内をたくさん歩いて疲れた?部屋に戻ろうか。」

「はい......。」

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