あやめも知らず




「ミレ村からやってきました。アヤメと申します。」


「─────顔を上げよ。」



翌日、王子に言われた通り王様に謁見することになった。
隣には王子。


私の才能を買って地方から連れてきたという旨を王子から話してもらった。


顔を上げると、どっしりとした構えに貫録はあるものの、見るからに優しそうな顔であった。


「ほお、可愛いらしいのう。息子のことだ、お主は素晴らしい娘なのだろうな。」

「身に余る言葉でございます。」

「レイはどうだ。こやつに虐められてはおらぬか?」

「いえ、とても良くして頂いています。」


冗談を言うように、気さくに話しかけてくれる。
私のこと犬のコロ扱いですけどね!!と言いたいところだけど。



< 65 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop