『美味しい』は『可愛い』より正義な件について
私は帰宅するなり、冷蔵庫に向かった。

目の前には豚肉と鶏肉。

せわしなく目を動かして、二つを見比べる。

あの後、健吾が教室に帰ってきたのは、本鈴が鳴るギリギリの時間だった。

数学の教科書とワークを腕に抱えて、少し息を切らせて急いで席についていた。

(~~これは“ありがとう”の気持ちよ、決して豚肉に屈した訳じゃないんだから!)

私は静かに鶏肉を冷蔵庫に戻す。

さあ、調理開始だ。
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