神木の下で会いましょう
全ては担任の所為。

遡ること三週間前。

合宿の話をしている時だ。

学級委員長の昴が教壇に立ち、3泊4日の流れを説明していた。

突然、何を思ったのか担任の近藤先生が、


「門倉! 秋川のサポートで委員長代理を任命する」


なんて言いやがったのだ。

突然の発言に静まる教室。

あの昴までもがポカンと口を開けていた。


「先生、意味が分からないんですけど」


その静寂を破るように声を発したのは門倉である私。


「ん? そのままの意味だぞ。秋川のサポートで門倉が委員長代理になるってだけの話だ」

「いや、だから委員長代理が意味分かんないんですけども」

「秋川は忙しいから門倉に手伝って欲しいんだよ」


“に”を強調してうんうんと一人納得する先生。

意味が分からない。


「副委員長がいるじゃん!」

「副委員長だけじゃ大変だろう。前から考えていたんだ。生徒会と学級委員長の兼任は大変だろう。という訳で門倉よろしくな。じゃあ俺は職員室いるから」


と、先生は笑いながら教室を出て行った。

でだ、先生の独断で変な役職を与えられた上、クラスの最前列を歩かなければいけなくなったのだ。

列の並びは一応出席番号順。

だけど、先頭以外は適当に並び替えて歩いているのが普通。

私も春の側に行こうと思ってたんだけどな。

思い出したら腹が立ってきた。

だいたい昴もなんでーー


「ーーっ」


体が前のめりに倒れていく感覚。

転ぶと思った瞬間、「ほら、ぼーっとしてないでちゃんと前見て歩いて」と昴の声が頭の中に響いた。

ちゃんと言うこと聞いておけば良かった。
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