ずっと、いつまでも。
「ちょっと、待ってて」
俯き続ける私に、彼はそう残してどこかへ歩いていった。
混乱していた私は、近くにあった階段に座った。
非常階段みたいだから、きっと誰も通らないだろう。
はぁー…とため息をつきながら自分の情けなさに頭を抱えていると、彼が帰ってきた。
そして、私の隣に人がもう一人座れそうなくらいの間を開けて座ると、
「寒いだろ?」
と、私に温かいカフェオレを差し出してきた。
この人、こんなに優しかったっけ?
…それともあの沈黙に耐えられなかっただけ?
「あ、ありがと…」
『ホットカフェオレ』と書かれたその缶をもらう時、お互いの手が触れて少しびっくりした。
「あの、お金…」
「いいよ、俺の奢り。落ち着いたら話して。」
恥ずかしさを隠しながら話すから、目なんて見る余裕なくて。
彼は私を急かすというより私の言葉を待っているように感じられた。