あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~
あっけなかったな。
なんだあ。確信してたのにな。うまく行くって。
これからどうしよう。
あ~あ、具体的に話を進めなきゃ。
明日、会社で関口さんに相談しよう。
中途半端に夢だけ見て、
こんな町大嫌いだ。2度とみたくない。
一刻も早く出て行こう。
やっぱり大阪行くか。
早坂さんに相談して、生活を一から立て直さなきゃ。
みっともないな。
散々彼にひどいこといって、彼の言う通りになった。
『早坂さんの言う通りでした。ごめんなさい』って頭下げなきゃ。
私は、電話を取り出した。
電話をかけようと思っても、
鼻水に、しゃっくりが止まらない。
こんなんじゃ、電話も出来ない。
バカバカしくて大声で泣けてきた。
引き止められるのも辛いな。
絵梨に何て言おう。絵梨あきれちゃうかな。
志賀くんに愛想尽かされるってどれだけ、酷いことしたのよって。
絵梨には、後で連絡しよう。
すべて終わってから。もう新しい生活始めてますって。
遠くにいかないでよって言ったら、気持ちがぐらついちゃう。
志賀くん、最初からダメだって言ってたのに、押しかけて彼を困らせてただけだ。
「もうう!!こんな町大嫌い。
もう二度と来たりしない…」
つぶやくように口に出してみる。
「友芽!」
遠くの方で彼の声が聞こえた気がした。
私は、ダイヤルする手を止めて、
後ろを振り返った。
彼の姿が見えるかなと思ったけど、
気のせいだった。
聞きたいと思ってるから、
聞こえるのかも。
「待て!友芽!!行くな!!」
今度は、しっかり聞こえた。