あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~
「友芽!!待て」
志賀くんの姿が見えた。
走ってきてる。何か叫びながら。
志賀くんが、私の前に立った。
息を切らせて…必死な顔して。
力いっぱい走ってきた彼も、髪が乱れて、声がかすれて、顔はひどい有り様だった。
「友芽!!どこにも行くな」
力強い声で、叫ぶ。
「志賀くん?」
「友芽…」
志賀くんが近づいてくる。
彼は、おいでと言って大きく広げて、
私に手を差し出してる。
「どういうこと?」
体が強張って動けない。
彼が距離を詰めて来る。
「友芽…どこにも行くな」
「ダメ…来ないで」
私は後ずさりする。
私、今ひどい顔してるし。鼻水出てるし。
志賀くんは、構わず近づいてきて、
私の手を取る。