あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~
「ほっぺたつねってみる?」
私は、彼の頬にさっと両手をあてて、のぞき込む。
「つねらなくていいから、キスして」
とまっすぐな目で見つめられたまま彼に言われて、私のほうがどぎまぎさせられる。
「わかった。でも、この箱を片付けてからね。これを出さないと着替えが足りない
…もう…志賀くん?ちゃんと聞いてる?」
私は、ずっと注がれたままの彼の視線が熱くて、彼の顔を見ていられない。
以前にも、こんなふうに見つめられてたけど、その時は、彼が私を非難しようとにらみ付けてるだと思い込んで、目を合わせないようにしていた。
今でも、やっぱり愛しい恋人を見る視線ではなく、怒ってるのかイラついてるのか言われないとわからない時もある。
彼の力強い腕が伸びてきて、私の返事を待たずに唇を重ねてくる。
彼は、キスをするのに私に断らなくてもいいと許可をもらうと、近くに人がいてもキスを求めてくる。
前触れもなく。いきなり振り向きざまになんて、本当に、心臓に悪い。
許可は要らないなんていった私が悪いのだけど。
信じられない。
これが、ほんの少し前、キスしようとして、拒否された彼と同じ人だなんて。
「志賀くん、ねえ着替え…」
「ん、ちゃんと聞いてるよ。ちょうどいいじゃないか。どうせ後で脱いじゃうんだし、着る暇なんかない。俺は裸のほうが嬉しいよ、友芽…」
もう、何言ってるのこの人は…