あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~

一度、早坂さんが、ストーカーまがいの男を捕まえてくれたけど、
相手は全然面識のない、偶然通りかかった見ず知らずの男だった。


『お前が、色気振り撒くからだろ。
そんなエロい体してるやつが悪い…』
早坂さんに言われて悲しかった。

そんなつもりないのに。色気を振り撒くなんて全然してないのに。

自分で意識していないことで、誰かに影響を与えるのは、恐ろしいことでもあった。

学生の頃は、ぼんやり壁を見つめていたはずが、俺のこと見てただろって、いきなりクラスメイトから腕をつかまれたり。

恐ろしいことに、誰がこんなことしてるのか分からない。
いつ、どこで、目をつけられたのか
本当に、心当たりも、見当も付かないことにますます気が滅入る。


「気にするな」

志賀くんの言葉がすっと心に入り込んでくる。短い言葉だけど。本当に心にしみてくる言葉。


「うん…ありがとう。
でも…志賀くん、彼女とか…好きな女の子とかいないの?」
もしそういう子がいたら、私が家にいるとその子に誤解される、志賀くんの厚意は受けられない。


彼は、私の方をちらっと見た。
「そんなこと、気にするな…」


「志賀くんの両親は?
帰って来ていきなり女の子がいたら?びっくりするよ」


「驚くだろうけど、でも、喜ぶんじゃないかな?」


「どうして?」


「そういうの、親に全然、話しないから。ひそかに心配してる」
微かに笑った。志賀君そんなふうに笑うんだ、


「そうなんだ…」
< 31 / 142 >

この作品をシェア

pagetop