あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~
私は、バッグをつかんでそのまま、部屋を出た。電話は切らずにそのまま部屋を出る。
アパートの横の大家さんのベルを必死にならす。
「お願い…早く出て!」
明かりがついて、中から人が出てくるのを見て、ほっとする。
「どうしたの?友芽ちゃんじゃないか」
靴も履かずに裸足で走ってきた。恐怖で心臓が破裂しそう。
「お願いします。助けて…助けて!」
そう言って、大家さんにしがみつく。
知らない間に悲鳴みたいに、叫んでいた。
大家さんが私の肩を揺すって、落ち着くように言ってくれる。もう大丈夫だからとなだめてくれた。
「可哀想に…警察と彼氏には電話で伝えたよ」
「彼氏って…」
「ほら、ここを借りるとき挨拶に来た、名刺があったから携帯の番号を書いておいてくれて。友芽ちゃんにお似合いの…」
「早坂さん…」
「すぐに来てくれるって…よかったね」
「早坂さん忙しくて、来られないはず」
彼には頼りたくなかった。大丈夫ってとこ見せておきたかったのに。
「大丈夫。事情を話したら、すぐに行きますって…言ってたよ」