あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~
早坂さんは、タクシーを待ちながら聞いた。

「友芽…あいつは何してるんだ?」

「えっと、これから連絡しようと思ったところだったの…」


早坂さんが、ため息をついて言う。
「連絡出来なかったのか?それとも連絡しても来なかったのか、どっちだ?」


「そんなの、どっちでもいいじゃない…それより、私、バスで帰るから、バス停に行くね」

早坂さんに、腕を引っ張られる。
「ダメだ。あのなあ、友芽、今日は一人で行動するのは、危険だって分かってるだろ?」


「バスで帰るだけなら」

「すぐに迎えに来てもらえ。じゃなきゃ、これから俺の家に連れて帰る。俺の言う意味分かるな?あいつじゃ、お前の事守れない。今日は、俺と一緒に帰るんだ」


「ダメ…早坂さん、もう…付き合ってるわけじゃないし。関係ないもん」


「そんなこと言ってる場合か?何で被害にあったとき、すぐに俺に言わなかった。あいつ、君が大変な時に、何してるんだよ。ほら、何してるの。呼ぶならすぐにでも、あいつ呼べよ」


「そんなに簡単には…」

電話したところで、来てくれるとは思えない。
電話に出てくれるかどうかさえも分からない。

「じゃ、あきらめろ。俺に連絡が来たのは運命だ。ほら、乗れよ」

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