クラスゲーム
その影の正体が姿を現した。











賢斗…!!


どうしよう…。

こんな、あらんに抱き寄せられてるところみられたなんて。


「ああ。お前か。」

あらんは前よりは優しい目で賢斗を見据えている。

それに対してあらんを無視するように視線を私に変えて

一歩一歩といつもより慎重に歩を進めて少しずつ近づいてくる。



「俺じゃ、やっぱダメだったか?」


その一言が何を言いたいのか。

何を示しているのかをすぐに理解することができた。



「違う!私が好きなのは賢斗だけだって!」


必死に抵抗して賢斗にすがりつくけど溜息をはかれるだけで……。






「おい。まさかお前いつも偉そうにしといてそんなことぐらいで愛理との関係を壊すつもりか?」


あらんが賢斗の胸ぐらをつかむ。


「愛理は殺されそうになってたんだよ、それをたまたま見かけた俺が助けて小さくかくまってただけだ。勘違いしてんじゃねぇよ。大体俺には春香がいるしな。」


そう言い終わるとそっと胸元から手を離した。


「かくまってただけ?それで抱き寄せる必要あるのか?それにお前は俺らを殺そうとしてるって言ってたじゃねーかよ。」



あー……。


そっか、賢斗はそのこと知らないんだよね。


そりゃ危ないし怒るよね。


「こいつが震えていたから安心させるためにしただけだっつーの。何もない。」


「あのね、あらんは私たちと一緒に人を殺さずにこのクラスゲームを終わらせようとしてくれるんだって!春香がそう言ってきたらしい。だから敵じゃないの。」


そう言うと安心したのかほっと息をついて肩の力が抜けた。



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