クラスゲーム
「おい、大丈夫か?」


いつの間にか賢斗が前で手を振って心配そうな顔で見ていた。


「あ、うん……。」


たかしも出てきて緊張からかこんな涼しい冷んやりした空間なのに汗を拭っている。


「ふぅ、行ったみたいだな。お前らお互いのことを思うのはいいが下手したら2人とも見つかるっていう場合もあるんだ。気をつけてくれよ。」


そう言うとたかしは机の中を光で照らして探し始めた。


たかしの言う通りだ。


もし私が逃げ遅れたせいで賢斗まで犠牲になったら……。


いや、多分賢斗は私を逃して自分を囮にすると思う。


そうなったら、万が一のことがあったら私はきっと一生後悔する。


「お前、つまんねーこと考えてんだろ?早く手ぇ動かせ、明日は俺もついてってやるからよ。」


賢斗がこっちも見ないで言い放った。


明日は俺もついてってやるから?なんでお父さんがくること知ってるんだろう。


「なんで、知ってるの?」


確かに私は誰にも言ってないはず……。


「あー……、おばさんの遺書に書いてあったんだよ。」


遺書?!


そんなの私知らないし読んでない。


なのにどうして賢斗は読んでるの……それよりどうして私に教えてくれなかったの。


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