翼をください




　ネオンがやけに眩しくて目を細める



　ガヤガヤと賑わいを見せどこからか奇声や怒鳴り声が聞こえてくる




　ここが私の逃げ場所



　家と違ってどこか暖かさを感じる



　どこがって思われても必死に生きるために必要な場所



　酔ってふらついている人がいれば、髪の毛を盛大に盛り上げ化粧の濃い女の人と歩くサラリーマン




　
　仲良くおててつないでホテルにでも行くのだろう


　
　ウケる……　　　ウケる………



　
　お腹のそこから笑いが込み上げてくる





　いい年した男が家族を裏切ってまで猫なで声の女と一夜を過ごすなんて





　家族を裏切るのがそんなに楽しいものなのか






　そんなのは私には理解できない



　理解しようと思わない






　けど裏切られた方の気持ちは嫌でもわかる………





　一生懸命作った晩御飯が時間と共に冷めていく悲しさ………





　秒針のリズムが静かな家に響く寂しさを……………

　
< 4 / 5 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop