光が眩しいから
一真がつっかかったのも、啓がそれをとめたのも、それは二人の優しさだから

「一真も啓もありがとな。」

礼を言ってちょっと頭を下げた。

「……ん。」

一真は納得してない感じだったけど、ちいさく返事をした。
そんな一真の髪を啓は両手でくしゃくしゃにした。

「何すんだよ!」

啓はそんな一真から目を離し、窓の外の空を、遠くを見つめて呟く。

「お前は一生わからなくていい。
わからない方がいい。」

啓は眉間にシワをよせたが、俺にはなんとなく分かった気がした。

悲しい恋の想いなんて、少ない方がいいから。
本物じゃない恋に安定するだなんて、一生知らなくてもいいから。

あぁ言ったのは啓の優しさ。
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