ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―
「陽和ちゃん、嘘だって顔してるね。嘘じゃない、全部私がやったの。このために昨日2人に残ってもらったんだから。」
クラスの皆がびっくりしていた。
でも一番驚いたのは私だ。
「私はずっと南くんが好きだった。それで体育祭の時、思いきって告白したよ。でも……南くんは陽和ちゃんの事しか考えてなかった。」
「早川さん……?」
「陽和ちゃんの事が羨ましかった、悔しかった!!あんたの常に誰にでも優しくて、友達の事を想ってるところが大ッ嫌いだった!
どうせ、幼馴染だからって私だけは特別だって思ってたんでしょ?幼馴染の南くんに嫌われたくないから良い子ぶってただけじゃない!!
だから私は2人の関係を壊したかったのよ!!」
早川さんが息を切らしながら悔しそうに言うと、杏華が怒ったように言った。
「なにそれ、陽和の優しさは全部全部自分のためだって言うの!?陽和はそんな事しない!!!ちゃんと素の自分の姿を見せてたわよ!!!」
「き、杏華……もう、いいの……。」
「でも……「早川さんが言ってること……間違ってないから。」
「……え、?」
私は早川さんの方を向いた。
「早川さん、ごめんなさい……。確かに私はさくちゃんに嫌われたくなくて、さくちゃんの前では良いとこばっかり見せようとしてた。……それに…ちょっとだけ特別かも……なんて…浮かれちゃってたんだ……。」
「ほら……「でも。」
早川さんの言葉を遮って続けた。
「結局良いとこだけを見せるなんてできなかった。………どんどんさくちゃんの事を好きになって、どんどん欲張りになっちゃって……。」
そこまで言うと、私は涙が堪えられなくなった。