ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―


―ドンッ


「きゃっ!!!」

夢中で走っていたら誰かにぶつかって倒れてしまった。
 

「……ってぇ…。」


私は慌てて立ちあがって謝った。


「ご、ごめんなさい!!!!」


相手の顔を見ると丁度私と同じくらいの年の男の子だった。


「あぁ、大丈夫大丈夫。気にしないで。」


そう言う彼はすごく優しそうでちょっと安心した。


「ホントにすいませんでした!!!……あの、ケガとかしてませんか?」


「してないよ、ホントに大丈夫だから!」


「あ、ありがとうございます!!!」


「いえいえ。そっちこそ大丈夫?」


ぶつかったのはこっちなのに……なんていい人!


「大丈夫です!私もケガしてないし……」


「そうじゃなくて。」


「え、?」


そうじゃない?って……どういうことだろう?


「君、さっき走ってたから何か急いでたんじゃないかなと思って。」

あぁ!そういう事か!

「あ、違います!!!ただ、その‥‥彼氏と‥‥色々ありまして‥。」


「そうなんだ?俺で良ければ話し聞くよ?」


え!?!?そんな知らない人に話を聞いてもらうなんて!!!!


「そ、そんな訳には!!!」


「いーのいーの。俺、そこの店で働いてるんだけどよかったら来ない?」


彼はすぐ近くにあるカフェを指差した。


「え、でも……。」


「ホントに大丈夫だから。それにぶつかっちゃったお詫びもしたいしね?」


本当に良い人すぎる。

少しだけならいいよね……?


「じゃ、じゃあ少しだけ……。」


私はそこのカフェに入ることにした。
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