ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―


「言わないから安心してよ、陽和ちゃん。」

にこっと笑った涼太くんは話を続けた。


「大丈夫だよ、彼氏くん。陽和ちゃんはきっともう君から逃げたりしない。」


「はぁ?」


さくちゃんは意味がわからないという顔をしている。


「だから……。」


「いい、陽和に聞く。陽和、行くぞ。」


さくちゃんに引っ張られた。


「え、ちょ、あ!涼太くん!!!本当にありがとう!!!」


「いえいえ。陽和ちゃん、また来てね!」


「うん!絶対来るよ!!」


そう、約束を交わしてカフェを出た。


カフェを出てもさくちゃんは黙ったまま。

さくちゃんに引っ張られて来たところ………ここ、どこ?


「さ、さくちゃ……「陽和…何知らない奴にほいほい付いて行ってんだよ。」


さくちゃんに言葉を遮られた。


「ご、ごめんなさい……。」


私が謝ると、さくちゃんは私とさくちゃんのおでこをコツンと合わせた。


「何もなくてよかった……。心配したんだからな。」


「さ、さくちゃん……来てくれてありがとう。」


さくちゃんの安心した声に思わず泣きそうになった。


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