ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―
それから着々と準備が進み、皆の衣装が完成した。
今日はクラスの皆で衣装の試着をしている。
私が着るアリスの衣装は水色と白がコンセプトでスカートの裾にトランプの柄が入っていてすごく可愛い。
こんなに可愛いの私が着ちゃっていいのかな?
それを着て鏡を見ると自分に似合っているのか心配になってくる。
「陽和ちゃーん、試着できた?」
「あ、うん!」
私は急いでカーテンを開けた。
カーテンで仕切りを作ってその中で皆が順番に着替えることになってるんだ。
私を見た香織ちゃんは固まってしまった。
「あ、あの……やっぱり似合ってない……かな?」
私がそう言うと、香織ちゃんは首をぶんぶんと横に振った。
「陽和ちゃんやばいよ!!!!!」
「え、えと……なにが?」
「ちょー可愛い!!!!!すっごい似合ってる!!!」
香織ちゃんは目をキラキラと輝かせている。
「もー可愛すぎて困っちゃう!!!」
そう言って香織ちゃんか私にがばっと抱きついてきた。
「わっ……!?か、可愛くなんかないよ!!!!!」
「わーお、なんでそんなことを言うのだお主は!!!まぁそんなとこも可愛いんだけどっ♪」
香織ちゃんの言っていることがよくわからない。可愛くなんかないのに……。
「えっと……まぁ、ありがと…でいいのかな?」
「うんうん!」
そう言って香織ちゃんは私から離れると、「よーし!じゃあ教室に戻って男子達にも見せてこよー!」と張り切って声を上げていた。
その様子を眺めながら私は杏華の元へ行った。
「わぁ!!!杏華すっごい可愛い~!!!!!」
思わず抱きついてしまった。
これじゃあ私も香織ちゃんと同じだ。
ちなみに杏華はチェシャ猫だ。私といつも一緒にいるから杏華もアリスの仲間にすると香織ちゃんが言っていた。
「猫耳似合う~!!!」
私がはしゃいでいると、杏華が微笑んだ。
「陽和もアリス可愛いじゃない。似合ってるよ。まぁ陽和はいつでも可愛いけどね!」
杏華まで!!
「私は、可愛くなんかないよ!!!」
「出たよ無自覚。まぁいいわ。そういう事にしときなさい。」
杏華も何かよくわからないことを言っている。
「まぁいいや!私達も教室行こ!」
香織ちゃんは先に教室に戻ったみたいだ。
「そうね。香織ちゃん行っちゃったし。」
「うん!」
私達は2人で教室に向かった。