ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―
教室に入ると、クラスの皆が一斉にこっちを見た。
「あ、噂をすれば~!」
香織ちゃんが私達の元へやって来た。
「香織ちゃん、噂って?」
「今丁度2人のこと話してたんだよ!2人ともすっごく可愛いから!!!」
「だ、だから杏華は可愛いけど私は可愛くなんかないよ!!」
「はいはい、そういう事にしといたげる~!」
なんとなく視線を感じて周りを見ると、男子も女子も私達2人をじっと見ていた。
「え、ちょ、杏華……なにこれ?」
「私もわかんないわよ。なんかちょっと怖いくらいの視線ね……。」
2人でヒソヒソと話していると男子と女子が一斉に声を上げた。
「わっ……!?なに!?!?」
「ちょっと、これどういうこと。香織ちゃん!」
めずらしく杏華も焦っている。
杏華が香織ちゃんに聞くと、香織ちゃんはにこにこしてこう言った。
「2人が可愛すぎてびっくりしてるんだよきっと♪」
なんですか、それ。
もう意味がわかりません!!!!!
私と杏華が困っているとさくちゃんが私の元へ来た。
さくちゃんはこの間言っていた通り、うさぎさんの格好をしていて、スーツに白い手袋、うさ耳付きのハットに時計を下げている。
「さ、さくちゃんかっこいい!!!」
私は思わず言ってしまった。
うさぎの執事さんみたいだ。
「うさ耳だぁ!!!」
さくちゃんの前で私がはしゃいでいるとさくちゃんの手が私の髪に伸びてきた。
「陽和もすっげぇ可愛い。」
そう言って微笑んだ。
―ドキッ
さくちゃんの不意打ちの笑顔はずるい。
かっこよすぎて心臓がどうにかなっちゃう。
「陽和ちゃーん!俺は?俺は?」
「七瀬くん!うん!すごくかっこいいよ!」
「まじ!?よっしゃー!陽和ちゃんも超可愛い!!」
「あ、ありがとう…!」
七瀬くんは新選組の衣装だ。
彼にすごく似合っている。
七瀬くんと話していると、さくちゃんが私をくるっと振り向かせて自分の方に向けた。
後ろでは七瀬くんが「相変わらず独占欲強ぇーな!」と、挑発的に話しているのが聞こえた。