ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―
「陽和ちゃん!7番テーブルお願い!!!」
「はーい!」
私は7番テーブルへと急いだ。
「ご注文はお決まりですか?」
台本通りのセリフを言う。
相手は男の子3人組だった。
さくちゃんにあんまり男の子の注文取るなって言われたけど……まぁ大丈夫だよね?
それにもう注文取りに来ちゃったし。
「お姉さんかわいいね~!!」
「それ、アリス?」
「この後ちょっと抜け出さない?」
あちらこちらと言われて私が困っていると杏華が来てくれた。
「すみません。うちのクラスではそのような事はお断りさせていただいてますので……。」
杏華がそう言うと男の子達は意外とあっさり了承してくれた。
良い人達でよかった~!
「じゃあさ!」
あれ?了承してくれた……よね?
「連絡先ちょーだい?」
「え、と……それは…。」
連絡先を渡すなとは言われていない。
でも、知らない人に教えるのは誰だって怖い。
「えー、だって抜け出せないんでしょ?」
「はい。すみません……。」
「だからさ、連絡先ならいーじゃん!」
良くないです!!!
頭ではそう思っていても言葉が出てこない。
「注文がないようでしたら、お帰りいただけますか?」
ふっと私の前に影ができて、顔を上げるとさくちゃんが3人の相手をしてくれていた。
「はぁ?俺達は客だぞ?」
「わかってます。」
「それに、俺達はお前じゃなくてその子と話してんの。」
3人の内の1人が私を指差す。
「ここは、雑談をする場所ではありません。こちらも他の人の接客に行かなければなりませんので。」
にっこりと営業スマイルを見せるさくちゃん。
でもこれは……目が笑ってない…。
さくちゃん絶対怒ってる……。
「さっきからうるせぇーなぁ。お前は黙って他の奴の接客でもやってりゃいーだろ。」
あ…。さくちゃん……キレた。
「うるせぇのはてめぇらのほうだろーが。注文がねぇならさっさと帰れ。」
さくちゃんがさっきの何倍も低い声で言うと3人組は怯えて舌打ちをして出て行った。