ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―


「あ、あの…さくちゃんありがとう。」


「陽和…ちょっとこっち来て。」


さくちゃんに腕を引かれて空き教室に連れてこられた。


「……さくちゃん、どうしたの?」


さくちゃんがくるっと振り返った。


「俺、男の接客すんなって言ったよな。」


「……はい。」


さくちゃんからのお説教です。


「さっきは俺がいたからいいけど、俺がいなかったらどうすんだよ。」


「……ごめんなさい。」


私がしゅんとしているとぽんっと頭にさくちゃんの手が置かれた。


「ん。次からは気をつけること。それと、俺の目が届くところにいて。守れなきゃ困る。」


「は、はい!」


私はしっかり返事をした。

守れなきゃ困るって……。

何かあったらまた守ってくれるんだ…。


「よっしゃ、戻るかー。」


私は嬉しくなって教室から出て行こうとするさくちゃんに後ろから抱きついた。


「うおっ!陽和、どした?」


「さくちゃん……いつも助けてくれてありがとう。」


ぎゅうっとさくちゃんを抱きしめる手を強めた。


するとさくちゃんが私の腕をほどいてこっちを向いた。


―チュッ


「……っ!?」


「あんまり可愛いことすんなよ。」


さくちゃんはそう言って私の頭を撫でてから、教室を出て行った。


私は熱くなった顔を冷ましてから慌ててさくちゃんの後ろを追いかけた。

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