ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―


*

打ち上げ花火の準備が終わり、いよいよ花火を打ち上げる時間だ。


私は杏華とさくちゃんと和希くんの四人で屋上に来た。


「陽和、いいの?私お邪魔じゃない?」


杏華がそんな事を言ってきた。


「え?なんで?杏華がいるほうが楽しいからいいの!」


「俺と2人きりよりも五十嵐といるほうが楽しいって?」


ずいっとさくちゃんが私の顔を覗きこんできた。


「ち、違うよ!そういう事じゃなくて!

花火は皆で見たほうが楽しいでしょ!」



「へいへい。」


もう!さくちゃんだって杏華と仲良いんだからいいじゃない!


「まぁ、そーよね。陽和と南くん2人きりにすると南くんが陽和に何するかわかんないものね?南くん。」


「そーだな、咲夜は陽和ちゃんが好きで好きでたまんない~だもんな?」


杏華が私の肩を抱き寄せながら、和希くんがさくちゃんの顔を覗きこんでにやにやしながら言った。


「それは否定しない。

でも和希…なんかむかつく。」


さくちゃんが和希くんの首を締めながら言った。


「いてててて、苦しいわばか!!!離せー!!!」


ふふっ、相変わらず仲いいなぁ。


「杏華、何するかって何するの?」


「陽和は知らなくていいのよ。」


なんだろ?まぁいっか。

気にしない気にしない!


「お、始まるぞ。」


―ヒュー…ドーンッ


さくちゃんが言うと、空に大きな花火が打ち上げられた。


「わぁ!!!すっごい綺麗!!」


「ほんと、綺麗…。」


次々に打ち上げられる花火はどれも綺麗で思わず見とれてしまった。


―カシャッ


え、?なんの音?


音のした方を見ると、さくちゃんがケータイを持って私の方に向けていた。


「さくちゃん……何したの……?」


「んー?写真撮ったの!」


「もー!!!!なんでいっつもさくちゃんばっかり撮るの~!私にもさくちゃん撮らせて!」


私がさくちゃんの肩を叩くとさくちゃんが言った。


「俺は悪くない。花火に見入ってる陽和が可愛すぎんのが悪い。」


「か、可愛くないし!!私なんか見なくていいから花火見ようよ!」


「はいはい。」


さくちゃんと私は空を見上げた。


綺麗な花火が打ち上げられるのを見ながら、ちらっとさくちゃんを見た。


すると、私の視線に気づいたのかさくちゃんもこっちを見た。


―ドキッ


私の心臓はさくちゃんに聞こえちゃうんじゃないかってくらい大きく鳴り出した。


しばらく見つめ合っていると、さくちゃんの顔が近づいてきた。



私達は綺麗な花火が打ち上がる空の下でキスをした。


唇を離すとさくちゃんが優しく笑った。


「さくちゃん……大好き。」


私がそう言うと、さくちゃんは「ふはっ。知ってる。」と笑いながら私をぎゅっと包み込んでくれた。



その後、私達の様子をずっと見ていた杏華が呆れながら私達を引き剥がしたのは言うまでもない。


その横で和希くんはにやにや笑っていたけど……。





ねぇ、さくちゃん。

来年の文化祭もこうして一緒に
過ごそうね。


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