ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―
*第四章*
束の間の幸せ
*
大きな行事が終わり、私達はまたいつも通りの生活に戻った。
そして今日はさくちゃんと放課後デートです!!!
一昨日から約束をしていて久々だからずっと楽しみにしていたんだ。
「杏華、また明日ね!!」
「デート、楽しんできてね~。」
「うんっ!」
私は杏華と別れてさくちゃんの元へ行った。
「さーくちゃん、帰ろ?」
「おうっ!んじゃー行くか!」
2人で並んで教室を出た。
靴を履いて校庭に出ると、さくちゃんがケータイがないと言った。
「ごめん、陽和!教室に忘れてきたっぽい。先に門のとこで待ってて!!」
「わかった~!」
私はそう言って校門に向かった。
校門でさくちゃんを待っていると、真っ白な子猫が私の足元に来た。
「みゃあ」
「わぁ、可愛い!!!どうしたの?迷子かな?」
私はその子猫を抱き上げた。
―チリン
音がして子猫の首輪を見ると小さな鈴がついていた。
やっぱり迷子かな?このままにしておいたら可愛そうだよね……。
どうしよう…。
私がそう思っていると子猫が私の手元からするりと抜けて、道路の反対側に行こうとした。
私は子猫を見失わないようにその後を着いて行った。
この時、私には子猫しか見えていなかった。
私がもっとよく周りを見ていれば。
あんな事にはならなかったのかもしれない。