ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―
私が子猫を追いかけると、後ろからさくちゃんが私を呼ぶ声が聞こえた。
「陽和!!!!!」
振り返ろうとした瞬間私は、誰かに背中を押された。
―キキィッ……ドンッ
何が起こったのか理解できなかった。
後ろを振り返るとさくちゃんが車に跳ねられ、血を流して倒れていた。
―ドクン
……な……に……?
……何が……起こって………。
私の頭の中は真っ白だった。
「……ひ……より………だい………じょ……ぶ……か?」
私はその声ではっとした。
さくちゃんの苦しそうな声。
私は一瞬で理解した。
私が子猫を追いかけた時、横から車が来ていたこと。
それに気づかないまま道路に飛び出して、それに気づいたさくちゃんが私をかばって轢かれてしまったこと。
私は慌ててさくちゃんの元へ駆け寄った。
「さくちゃん!!!さくちゃん!!!」
涙が溢れてきた。
「ご、ごめ……さくちゃ……私のせいで…。」
さくちゃんの手が弱々しく私の頬を包んだ。
「……お、れは……だいじょぶ……だ、から…‥。
だ、…か‥ら……ひ、より…
笑え……。」
そう言ってさくちゃんは優しく微笑んだ。
その瞬間さくちゃんの手が私の頬から離れ、さくちゃんは目を閉じた。
「さ、くちゃ……さくちゃん!!!
お願い……目……開けて……開けてよぉ……。
さくちゃん!!!!」
私はさくちゃんの名前を叫び続けた。
ねぇ、さくちゃん。
私達はこれからもずっと一緒……だよね?