ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―



誰かが私の頭を優しく撫でていた。


目を開けるとそこには優しく笑う彼がいた。


「……さ、……くちゃん?」


私は放心したままさくちゃんの名前を呼んだ。


私の呼びかけに返事をしてくれたさくちゃん。



でも………。



「………え、……?」



私はさくちゃんの返事に耳を疑った。




「急にごめんな。知らない奴に頭撫でられててびっくりしたよな。

いやぁ、目が覚めたらお前が横で寝てるから………って……え?」



ずっとずっと待ち続けたさくちゃんの笑顔が目の前にある。


やっとさくちゃんに『おかえり』が言える。



嬉しくて嬉しくてたまらないはずなのに……さくちゃん………今‥‥なんて…言った……の…?




私の頬には温かいものがつぅーっと流れていた。





「なんで、泣いてんの?大丈夫か?

えっと……名前……。」




名前…………?

さくちゃん……何言ってるの……?


私だよ?

さくちゃんの幼なじみだよ?

彼女だよ?







忘れ……ちゃったの……?








―ガタンッ



私は訳がわからなくなってイスから立ち上がり、病室を飛び出した。




「あ、おい!」



後ろでさくちゃんの声がしたけど私は振り向かずにひたすら走った。















ねぇ、さくちゃん。


おかえりって……言わせてくれないの……?



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