ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―


*

皆が帰った後も、私は残ってさくちゃんのそばにいた。


「成瀬は、まだ帰んなくていいのか?」


何気ない一言だった。


さくちゃんに悪気はない。


──成瀬……。



心がズキズキして痛い、苦しい…。



でも……一番辛いのはさくちゃんなんだ…。



私が傷ついてちゃダメだよね……。

わかってる……わかってるけど……


これだけは……


「……ねぇ、さくちゃん……一つだけお願い……聞いてくれる……?」



このわがままだけは聞いてほしい………。


それ以上のことなんて何も望まないから……だからお願い……。



「おう。聞いてやる!」



ほらね…さくちゃんはそうやって笑うんだ。



「陽和…って……呼んで?」



優しく優しく微笑むんだ。

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