ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―


#咲夜side


「さくちゃんなんて大ッ嫌い!!!!!」


そう叫んで病室を飛び出していった陽和。


俺は事故にあったことで脳への衝撃が強く、記憶がなくなってしまったらしい。



後から聞いた話では陽和は俺の幼馴染だ。



彼女は俺の目が覚めた時、俺の隣ですやすやと眠っていた。


俺の手をしっかり握ったまま「さくちゃん」って……言ってたんだ。


俺はその時、彼女のことを可愛いと思ったんだ。


無性に抱きしめたくなった。


だけど、知らない奴に抱きしめられるなんてコイツにとってはいい迷惑かもしれない。


だから俺は彼女の頭をそっと撫でた。



俺が頭を撫でると彼女の口元が少し緩んだ。



―ドキッ



なんだ……これ……俺の心臓は大きく音を立てた。



「……さ、……くちゃん?」


俺はその声で我に返った。


彼女が驚いた様子で俺を見た。
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