ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―
*
目が覚めると、朝になっていて病室に先生と俺の母さんが入ってきた。
「おはよう、咲夜。」
「咲夜くん、おはよう。
昨日はよく眠れた?」
「おはようございます。
あ、はい。眠れました。」
母さんが先生の紹介をしてくれた。
「咲夜の担当をして下さってる、白井(シライ)先生よ。」
「咲夜くん、改めてよろしくね。」
「よろしくお願いします。」
白井先生に挨拶をして、俺は今の様子を聞かれた。
「えっと……何か足りないんです。
昨日、俺の部屋に俺と同い年くらいの奴がいたんすけど……それが誰だかわからないんっすよ。」
俺がそう言うと先生と母さんは目を見合わせて頷いていた。
なんだ……?
「咲夜くん、落ち着いて聞いてね。」
「はい…。」
「咲夜くん、貴方は事故によって脳に刺激を受けたの。そのせいで家族以外に関わっていた人の記憶を失くしてしまったのよ。」
「それは……記憶…喪失…ということ……ですか?」
「そうね。でも、その記憶を思い出すか思い出さないかは貴方次第よ。」
先生は落ち着いて、俺の目をしっかりと見据えて言った。
つまり……昨日の彼女も俺と関わりがあるってことか……?
だから…彼女は泣いていたんだ……。
その時、昨日の彼女の泣き顔が頭に浮かんだ。
彼女の泣き顔が頭から離れなくて、何度も俺の胸を締め付ける。
……俺は…このとき
…記憶を取り戻したい…。
彼女の事を………思い出したい……。
そう、強く思った…。