ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―
画面をスクロールしていると俺はある写真のところで指を止めた。
いや、正確に言えば指が止まった……。
それは陽和が夜空に浮かぶ花火を見上げている写真だった。
―ドクン
その瞬間、頭に何かで強く殴られたような痛みが走った。
……な、んだ……これ……。
息が……しづらい……い…ってぇ……。
──もー!!!なんでいっつもさくちゃんばっかり撮るの~!私にもさくちゃん撮らせて!
──俺は悪くない。花火に見入ってる陽和が可愛すぎんのが悪い。
遠くでそんな声が聞こえたような気がした。
「…‥はっ、…はぁ…‥…はぁ…」
俺は、数分間そのまま動けなかった。
痛みが収まり、息を整えた。
何だったんだ……今の…。
それに、あの声は一体誰の……?
俺の中でいくつもの疑問が思い浮かぶ。
ただ一つ、分かることがある。
俺の写真フォルダの中……あの中に写っている俺と陽和は…仲の良い幼馴染なんかじゃなかった。
俺と陽和は…‥恋人同士だったんだ……。
も、…しかして………さっきの痛みは……俺の中の記憶が戻ろうとしている時……?
自分のケータイや、俺と関わりのある人の身近な物を見れば記憶が戻せるかもしれない……。
そのほんの少しの希望を抱いて、俺はもう一度ケータイの画面を見つめなおした…。
ほんの一部……陽和と恋人同士だったということを知ることができただけでもとても嬉しくなった。
陽和との距離が一歩、縮まったような気がした。